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剥き出しの魂、今は亡きダークネス・ディーヴァ『Amy Winehouse(エイミー・ワインハウス)』:VOL.3

剥き出しの魂、今は亡きダークネス・ディーヴァ『Amy Winehouse(エイミー・ワインハウス)』:VOL.3

 

前述(VOL.1)でも述べたように、私にとって愛すべき究極のクールネス・ディーヴァが「シャーデー・アデュ」であり、ダークネス・ディーヴァが今は亡き『エイミー・ワインハウス』なのである。

言い換えれば、音楽性や精神性を含め、その行動や表現活動において、シャーデーが「孤高の象徴」であり、エイミーが「孤独の象徴」ではあるが、「粋(いき)」と「無粋(ぶすい)・野暮」、「ソフィスティケイテッド(洗練さ)」と「コンプレックス(複雑さ)」の両義性を二人ともが持ち合わせ、どちらかを表に出しつつ秘めている。

「Coolness(クールネス)」は一般的に、気質、態度、身なりなどがさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気があること。また、そのさま。色っぽい、セクシー、艶っぽいことである。「Darkness(ダークネス)」は一般的に、光が及ばない暗闇、果ての無い闇、道徳・文化的な暗愚や邪悪、盲目、秘密などを表す。

「Sophisticated(ソフィスティケイテッド)」という英単語はよく「洗練された」と訳される。方や「Complex(コンプレックス)」という英単語はよく「複雑な」と訳される。日本語の語感としては、「洗練」と「複雑」は反対の意味を持っているように響く。

洗練されたものとは、要素が無駄なく整理されていて単純さの中に深みを感じさせるようなもの。複雑なものとは、要素が多く混沌としていてまとまりが見いだせないようなもの。ところが英語でのsophisticatedとcomplexの使われ方を見ていると、このふたつは同じようなニュアンスを持つ言葉である。

sophisticated は、精巧緻密で高度に手の込んだ凝ったものを意味する。complex は、複合的で込み入ってはいるが全体として綿密に計画されたものを意味する。例えば「宇宙は、ソフィスティケイテッドかつコンプレックス」なのである。

 

 

いずれにせよ、その中にはある種の官能的で浮遊感覚あふれるボーカルテイストがあり、聴き手の耳をそば立たせ、ハートをとらえてしまう強いサムシング、そして自己の世界を確実に創り上げている。

また彼女らは決定的に、「白人文化におもねらない」だけでなく、「黒人音楽に媚びない」姿勢が共通しながらも、世間一般ではその音楽ジャンルやカテゴリー、あるいはアートフォームのみで評価・評論をされがちでもある。

彼女らの紡ぎ出す歌詞と楽曲が、そのメロディーラインとリズム、アンサンブルやグルーヴ感を包摂・統合・抱擁するがごときランスルーする中に、かつての音楽ルーツの懐かしさが如実に表れているのは間違いない。

しかしそれは、かつての時代に生み出されたものの焼き直しではなく、「永遠のスピリットともいえる時空を超えた音玉」が、今、この瞬間も常に響いている様そのものを表現し、体現している。

シャーデー、そして今は亡きエイミーの両者は、そのスピリットを独自の語り口で、またドラマ性の面白さを現代において発揮している・・・。

本日は、そんなスピリットの代表格でもある「ダニー・サハウェイ」が生前カヴァーしていた“I love you more than you’ll ever know”、そして“A Song For You”の2曲を、ものの見事に自分のものにしてしまった「エイミー・ワインハウス」の映像で締めくくりたい。

by JELLYE ISHIDA.





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