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『芸術の物語』:第一章

『芸術の物語』:第一章


 

「偉大な芸術の力によって、私たちは終わりのない、無限に広がる地平に招待される(地平の融合)。その力(プロセス)で私たち自身の地平線も広がる。そして、私たちを切り離された自我の狭い監獄と好みのイデオロギーという狭い水路から解放して、広々とした海へと導くのである。」

 
芸術への理解のプロセスは同時に「自己への理解のプロセス」であり、それは最終的に解放的(自由と充足)なものである。

芸術の力とは、私自身が自分の境界を広げること、その過程で成長(治癒と発達)することなのである。そして「地平の融合」とは、つまり「自己の拡大」である。

シェリング、シラー、ゲーテ、ショーペンハウエルなど、偉大な近代(18世紀)の思想家たちは、芸術の持つ偉大な、人をして超越させる力の理由を指摘してきた。東洋でも西洋でも最近まで、芸術が深い精神的な変容と結び付いて考えられていたのは不思議ではない。

偉大な芸術の力は、私たちの原初的な生得の力(身体、本能、性、そして感情の一部)に活力を与え、心(ハート、マインド)を揺さぶり、ソウル(魂:大いなる個人の命)を呼び起こし、スピリット(霊性:大いなる共通の命)を目覚めさせる。

スピリットという言葉がどのような意味であろうと、偉大な芸術があなたの中に入り、ハートが打たれた(あなたの意志に反して、つかまれた)その瞬間、スピリットはこの世界で、少しだけ、余分に輝きを増すのである。
 

「スピリットの眼において私たちは出会う。私はあなたを見つける。そして、あなたは私を。奇跡とは、私たちがお互いを見つけだしたことである。この事実こそ、疑いもなく、まさに活動するスピリットが絶えざる存在であることの、最も単純な証拠なのである。」

 
スピリットはたった今、この文を読んでいるまさにあなた自身なのである。

あまりにも明白なので無視することは出来ず、あまりにシンプルなので記述することも出来ず、あまりにも身近で簡単なので信じることも出来ずにいる。(つづく)

by JELLYE ISHIDA.

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