彼ほど、すべての黒人音楽を愛し、黒人としての誇りを持ち続けた歌手はあの時代にいたのだろうか。
彼の、時折見せる高らかな笑い声が、どれほど多くの黒人を勇気づけただろうか。
彼は、歌を通じて黒人コミュニティを超え、もう一つの人を喜ばせることで世界をいかに変えただろうか・・・。
1964年12月11日、ロサンゼルスで不慮の死を遂げたサミュエル・クックこと『サム・クック』。
遺作となった「シェイク」は翌年にアメリカで大ヒットした。
B面の「A Change Is Gonna Come」も、最期のメッセージと受けとめられて広く浸透していった。
にもかかわらず日本では、サムの死も音楽も無視されたままだった・・・。
そして1985年、マイアミの「ハーレム・スクエア・クラブ」という黒人コミュニティーで、1963年の1月にサムが歌ったライブ音源が世に出ることになった。
刺激が強すぎて商品に向かないと、当時のRCAは発売を自粛していたというアルバムだ。
しかし、そのレコードを聴いて多くの音楽ファンやミュージシャンは、初めてサム・クックの魅力を発見することになる。
今夜はソウルファンには名高い「ハーレム」のライブではなく、サムが亡くなる年に行った「コパ」のライブ『at the Copa(1964年)』から、大変貴重ながら「人を喜ばせる」という彼の人柄を感じる『Medley:Try A Little Tenderness / (I Love You) For Sentimental Reasons / You Send Me (Live)』をお届けしたい。
by JELLYE ISHIDA.
LEAVE A REPLY.